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国家事業報告書草稿 2/2

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はじめに
 製材経営支援システムはサプライチェーンマネジメント (Supply Chain Management: SCM) を木材生産に特化(木材SCM)し、生産計画の計算過程に反映させコンピュータに立案させるものである。木材SCMは原木に対する需要の安定化と将来の拡大を指向すること、各工程における在庫量をできるだけ減らすこと、最終需要に対して供給不足をできるだけ発生させないこと、の3つの目的をバランスよく達成することを目標としている。

1.製材経営支援システム
 本システムは原木調達量・原木在庫量・製品生産量・製品在庫量・需要予測量の大別して5つの量をシミュレーション(数値実験)により週単位に出力し、その結果から今後の生産活動をチェックする経営ツール(意思決定支援システム)である。一般的に生産活動の抱える問題には情報とモノの時間遅れから生ずるものがあり、それらの挙動は人間の直感でとらえにくい。よって本システムを用いることにより、思いもよらないリスクをチェックできる利点がある。
 フォードの流れ作業手法、トヨタ生産システム、そして制約条件の理論(TOC)などの生産活動に関する主だった考え方は、モノの流れに着目しそれを速やかにすることを目標としていることが共通している。またそれらの登場した時点でリスク・不確実性などは現在ほど深刻ではなかったと考えられる。そこで本システムでは、製材工場での木材の流れを速やかにし加えて市場のリスクにも俊敏に対応できることをねらっている。本システムへの木材SCMの採用はこれら2つの達成のためでありさらによい手法があればそれらを採用していく。
 木材SCMの特徴は調達量と生産量を安定化させることである。調達量の安定化は、変動費とみられてきた原材料費(原木費)をあたかも固定費のように扱い得ることを示す。これまでよりも支出が安定化されるため、支出・回収の資金管理は容易となりリスクを減じ、さらに計画的な投資を行いやすくする。生産量の安定化は、需要が多ければ経営資源を効率的に使用することを示す。需要が少なければ遊休資源をカウントできやすくなりその対応を俊敏に行える。一方、販売時期の需要予測量から調達量・生産量を決定することでキャッシュフローを多くすることをねらう手法がある。このような手法では短期的にキャッシュフローを高めるには適しているであろうが、長期的にみると経営資源を効率的に用いていることにはならずすなわちキャッシュはねらいと反してそれほど多くはならない。
 調達量と生産量の安定化のように安定化可能な点を安定化していくこと自体は、不安定な市場に対して持続的に適応していくことをより可能にしていくと考えられる。経営資源に関わる様々な点を安定化していくことは、リスクや不確実性に対応する際の十分な経営資源を見込める。

2.原木
 本システムで原木は10種までセット可能としており、単価別、取引先別、または協定取引か否かのように自由に項目を設けることができる。調達量は、原木の種別に対応させた製品の週あたりの平均需要原木換算値に対し、製材工場全体の投下資本利益率(ROI)に100%を加えた値を乗じることで決定し、安定化させている。具体的なROIは、過去一カ月の利益(販売額から用いた原木費と工場全体の業務費用を引いた金額)を現在工場の抱える全在庫の原木換算値で除すことで得られる。例えば週はじめでのROIが5%であれば平均需要原木換算値の105%の量を調達することとなる。在庫が多ければROIは低くなり調達量は少なく計算される。利益が多ければROIは高くなり調達量は多くなる。原木在庫量の在庫目標値にも平均需要原木換算値を採用し、何%にでも任意にセットできる。原木在庫量が在庫目標値に達していない時、不足分を調達量に加えることで在庫不足を避けることをねらう。

3.製品
 本システムで製品は50種までセット可能としており、製品5種ごとに原木1種と対応させている。製品生産量は、製品ごとに週あたりの平均需要量を生産量とした。各製品には乾燥と養生の合計期間をセットすることで、工場内での必要な滞留期間を表すことをねらった。さらに、乾燥と養生の合計期間を過ぎ販売可能になってもなお長く滞留する在庫を過剰在庫ととらえ、製品別に許容できうる期間をセットするようにした。また過剰在庫の際の製品生産量は週あたりの平均需要量から割り引くように生産量を何%にでもセット可能としている。製品在庫量の在庫目標値には、需要予測量と安全在庫量の合計を採用した。需要予測量は前週と昨年前週の差を任意に割合で調整し昨年今週に加えることで予測量をする手法と、単純に過去一カ月の平均を予測量とする手法のいずれかを製品別に選択する。安全在庫量は平均需要量に任意の割合をセットし求まるようにした。製品在庫量が在庫目標値に達していない時、不足分を生産量に加えることで在庫不足を避けることをねらう。

4.指標と手法
 本システムでは平均的な需要量に基づいた値で調達量・生産量を計画していく上に、原木ではROIと在庫目標値、製品では在庫滞留期間と在庫目標値のように、調達量・生産量の調整にそれぞれ2つの指標を与えた。ここで平均的な需要量を無視し指標に在庫目標値のみを採用すれば1.製材経営支援システムで述べたキャッシュフロー重視の手法となる。上述の通りそのような手法では短期のキャッシュフローを財務諸表上高める利点が認められるのみであるため、長期的に経営資源を効率的に運用することで資金をより多く得るためには避けるべきであろう。
 平均的な需要量に基づいた値は木材の流れの安定化のために採用されたものである。そして複数の指標で原木・製品の調達量・生産量を調整していくことにより、バランスの良い結果(調達・生産・販売)を達成し続けることをねらっている。経営資源に関わる様々な点を安定化し、リスクや不確実性に対応できる経営資源状態を保つためには、複眼的に木材生産活動を把握し得られた情報資源を木材生産計画立案に生かしていくことが最も有効な戦術の1つと考えられる。

5.製材経営支援システムへの期待と課題
 本システムの研究・開発は、新生産システムの進捗状況に応じた経営者側の抱える問題をヒアリングし、可能な限り要請に応えまた提案をし、システムの高機能化・簡素化・容易化を目指す方針である。現在のところ本システムに対し対象経営体は製品在庫管理における意思決定支援ツールとしての期待をよせている。現段階の具体的な要請項目は、生産規模拡大体制下での生産管理・在庫管理の一括化・容易化、製品別の乾燥・養生期間の可視化である。
本システムの研究・開発は、経営者・流通コンサルタント・SCMコンサルタントの相互作用からなる創発をもとに行っている。ご興味を持たれた方は森林誌研究所までご一報頂きたい。


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