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国家事業報告書草稿 1/2

先日提出した報告書の草稿です。



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はじめに
 製材経営支援システムはサプライチェーンマネジメント (Supply Chain Management: SCM) を木材生産に特化(木材SCM)し、生産計画の計算過程に反映させコンピュータに立案させるものである。木材SCMは原木に対する需要の安定化と将来の拡大を指向すること、各工程における在庫量をできるだけ減らすこと、最終需要に対して供給不足をできるだけ発生させないこと、の3つの目的をバランスよく達成することを目標としている。

1.SCM
 SCMは原料調達・製品生産・製品販売を一連の流れとして管理する考え方である。その要点は最終消費者に焦点をあてること、メリット・デメリットを共有すること、そして一体としてみることである(Persson, 1997)。素材生産から木材販売にいたる一連の木材生産においてもSCMの考え方は有効であると考えられる。他国でも木材生産(HaartveitとFjeld, 2003)や木材を含む建築(Hong-Minh, 2002)について検討された。我が国の木材生産では上の要点に加え一般のSCMでは全く取り上げられてこなかった2点、すなわち山元還元の視点の不可欠と急峻な地形から最も川上側に位置する制約条件となりえる素材生産能力を検討する必要がある。

2.ブルウィップ効果
 SCMに基づく経営において川上側ほど需要変動の増幅する現象(Forrester, 1961)がブルウィップ効果として知られている。川上側ほど在庫が長期滞留するか過剰な生産能力を用意せねばならず、経営資源配分は非効率となりキャッシュを圧迫する。この現象の大きな要因は需要予測の誤りが繰越在庫量とその見込量にズレを生み続けることと考えられる。木材生産の大規模化に伴い在庫管理を細部まで実施するほど製材経営体内部の木材の流れと原木調達量の振幅を不要に大きくさせかねず、原木と仕掛品の長期の過剰在庫を招きかねない。適切なシステムの採用、計画立案間隔短縮、情報共有、そして計画立案上の流通段階削減により需要変動増幅は緩和可能(McCullenとTowill, 2001)と指摘されている。また緩和を超え抑制しうる手法として以下2手法があげられる。需要を満たし木材の流れを安定化させる木材SCM(青柳ら, 2000)と、入荷量を予測量とほぼ同期させ増幅現象の抑制に制御工学を用いたGEの提案法(Dejonckheereら, 2003)である(図-1)。



bullwhipfori



               図-1 ブルウィップ効果のイメージ


3.木材SCMとGEの提案法の検討
 木材SCMは単純な計算過程に多様な情報資源を採用することで経営者(実業家)の視点に立ち、経営資源活用の効率化、すなわち攻めの経営の支援を指向する。一方GEの提案法では、在庫は悪とされた前世紀の考えを踏襲し制度会計上重視されるキャッシュフロー増加を求められる管理者(担当者)の視点に立った守りの経営の支援を指向するといえる。木材SCMでは安定化する毎月の支払総額(固定費+原木費)を除くことで容易に把握できる資金を駆使した経営や、遊休資源の発見・対応を行いやすくなる。一方GEの提案法では常に不安定な原木費のため資金ショートに注意を要し、計画の山崩しをすれば遊休となるものを含んだ経営資源配分の非効率を要し続けるためキャッシュフローは考え得る水準に達しない。以上を鑑みさらに山元還元の安定した実施と川上側の制約条件への対応も考慮し、製材経営支援システムには木材SCMを採用している。

4.製材経営支援システムへの期待と課題
 大分圏域における製材経営支援システムの導入対象は2経営体である。本システムの研究・開発は、新生産システムの進捗状況に応じた経営者側の抱える問題をヒアリングし、可能な限り要請に応えまた提案をし、システムの高機能化・簡素化・容易化を目指す方針である。現在のところ本システムに対し2経営体ともに製品在庫管理における意思決定支援ツールとしての期待をよせている。現段階の具体的な要請項目は、生産規模拡大体制下での生産管理・在庫管理の一括化・容易化、製品別の乾燥・養生期間の可視化、取扱製品アイテム数拡張である(現在本システムは製品50アイテム、原木10種を対象)。本システムの製品別生産量は、平均需要量を基準値とし乾燥・養生後の在庫量の在庫目標値低下分を増量させ、乾燥・養生後の保管期間が許容期間を超過した際に割り引くことで求まる。現在本システムでは製品在庫量を平均需要で除し乾燥・養生期間及び保管期間に読み替えている。保管期間を正確にカウントし在庫管理に生かすためにも保管期間も含めた乾燥・養生期間の可視化機能はシステムに記述せねばならない最重要課題となっている。
本システムの研究・開発は、経営者・流通コンサルタント・SCMコンサルタントの相互作用からなる創発をもとに行っている。ご興味を持たれた方は森林誌研究所までご一報頂きたい。

引用文献
     青柳修平・長澤一太郎・竹内公男 (2000) 製品ストックヤードにおける製材品在庫管理の検討. 日林関東支論 52. 63-66.
     Dejonckheere J, Disney S M, Lambrecht M R, Towill D R (2003) Measuring and avoiding the bullwhip effect: A control theoretic approach. European Journal of Operational Research. 147. 567–590.
     Forrester J W (1961) Industrial Dynamics. MIT Press.
     Haartveit E Y, Fjeld D E (2003) Simulating Effects of Supply Chain Configuration on Industrial Dynamics in the Forest Sector. Int J For Eng 14. 21-33.
     Hong-Minh S (2002) Re-engineering the UK private house building supply chain. PhD dissertation. The University of Wales.
     McCullen P, Towill D (2001) Practical ways of reducing bullwhip: the case of the Glosuch Global supply chain. Control 26. 24-30.
     Persson U (1997) A conceptual and empirical examination of the management concept Supply chain management. Licentiate Thesis 1997/29. Luleå University of Technology.

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